(東京都)

 最近、雑誌などで都心の新しい温泉施設が特集されることもあっていろいろ話題になっているようだ。それらの施設はだいたい2,500〜3,000円程度の料金で入れるので東京から高速料金を払って地方の日帰り施設に入るのとそれほど変わらなかったりする。ただ、言うまでもないが露天風呂に入っても澄んだ空気や小鳥のさえずりは期待できない。

 さて「東京」というくくりで考えると東京都は意外と広いことがよくわかる。奥多摩だって大島だって東京都なのだ。そこで、今回は話題の施設も含め東京の温泉を整理するために特集記事にすることにした。

■テーマパーク・健康ランド型

話題になった大江戸温泉物語

女性ターゲットのスパ・ラクーア

サービスが充実の庭の湯
 最も話題になり、そして最も期待外れだったのが大江戸温泉物語。敷地面積の割には純粋な温泉部分が小さく、飲食店だけ目立つのが特徴。最近犬用の温泉施設を作ったり参勤交代の湯など、ここの考えることは私の理解を超え、ますます遠い存在になりつつある。家からは近いんだけどね。
 スパ・ラクーアLaQuaは温泉もある大人のリラクゼーションスペース。ターゲットの明確化は賛否両論あると思うが、逆にそれがいわゆる健康ランドとの違いを出している。遊園地が気分の盛り上げの演出になっていてウキウキできる。茶褐色の温泉はなめらかで身体がよく温まる。まるでホテルの中のようなきれいな設備でちょっとオシャレ気分になれるかな。
 豊島園「庭の湯」はそれほど大きな施設ではないので、土日はだいたい人数制限で待たされるのだが従業員の態度の良さで不満は打ち消される。よく考えられた設計で細部にも心配りがされているのを感じる。露天風呂が木に囲まれているのとスチームサウナが私のお気に入り。また行きたいと思わせるサービスがある。

教習所隣接の古代の湯

平和島温泉クアハウス

スーパー銭湯型の保木間温泉
 地味だけど割と好きなのが古代の湯。造りは健康ランドそのものだが、広い温泉浴槽と場所柄?土日でもそれほど混雑しない。今ではめずらしく無くなったが各人テレビ付きのリラクゼーションルームでゆっくりできる。もとは海水であっただろう温泉のジェット打たせ湯はしょっぱいが気持ちよい。平和島温泉クアハウスはかなり前から温泉クアハウスとして有名だが、最近、海洋深層水の露天風呂が新設されて大きくなった。以前からあった場所はそのままで新設されたところまで移動しなければならないのがちょっと面倒。映画館やドンキホーテなどついでにいろいろ楽しめる。
 なんじゃこりゃー!ていう色合いの建物が印象的な保木間の湯じゃぽん(保木間温泉)は足立区にあるスーパー銭湯。住宅街のど真ん中にあって場所の意外性もある。塩分が強くてすごく温まる。
 昔ここ全部スポーツクラブだったよなと少し懐かしく思いながら入れるのが瀬田温泉「山河の湯」。いわゆる東京の茶褐色の温泉だが少しトロみがあって好きな泉質。床にべたっと寝ることができるスペースがあってゴロゴロできる。まったりとした感じがいい。
■郊外型

洋風な外観の小平温泉

蕎麦を食べて深大寺温泉

レトロな浅草観音温泉
 郊外型と分類したが必ずしも郊外にはない。何となく郊外を感じるというか....銭湯ではないけど健康ランドでもない温泉施設ということでご理解を。
 ここはどこですか?と思うくらいの洋風な建物の小平温泉テルメ小川。でも中に入るとやっぱり日本だ。混雑していたので慌ただしい印象しかないのだが、平日など空いている時間に行けばのんびりできるかも。深大寺温泉ゆかりは調布にある風水テーマの温泉施設。濃いめの黒湯でねっとり感のある泉質。家から近くないので最近は行かなくなってしまったが、深大寺蕎麦を食べられるのでたまに行きたくなる。浅草にあるので郊外ではないけど、まったり感が郊外の浅草観音温泉。人魚のタイルや古めかしい下駄箱や廊下がレトロな雰囲気でいい感じだ。もともとは黒湯らしいのだが、濾過して塩素剤が投入されているのが何とも残念な温泉だ。その他、都心にあって郊外を感じるのが大江戸東山温泉。狭いイメージだが浴槽は意外と広いし、外はほとんど見えないが露天風呂がある。館内はのんびりとした雰囲気が漂っている。
■山間型

秘湯を守る会の宿たから荘

ひので三ツ沢つるつる温泉

鶴の湯温泉 馬頭館
 都内で山間型というとやはり奥多摩だろう。中央自動車道の八王子ICで降りてから結構時間がかかるので「東京都」というイメージはほとんどないけど住所的には都内になる。
 秘湯を守る会の宿にもなっている蛇の湯温泉 たから荘には日帰りで行ったのだが、是非泊まってみたい。単純硫黄泉で透明だが温泉を感じることのできるいい泉質だ。近くて遠い東京の秘湯だ。ひので三ツ沢つるつる温泉は、入ればその名の意味がわかる。つるつるというかヌルヌルというかアルカリを感じるならここしかない。浴槽は大きくないが休憩室は大きいのでゆっくりできる。鶴の湯温泉はひさびさのヒットという感じ。奥多摩湖をドライブしていると頻繁に鶴の湯温泉という文字を見るので気になっていたが、なかなか入る機会がなかった。馬頭館は宿だが日帰りでも湯上がりにお茶のサービスがある。微硫黄臭のあるしっとりとした泉質は肌に良さそうだ。いつまでか期間はわからないがスタンプラリーをやっていて各温泉施設の利用料の割引がある。
■銭湯型

あけぼの湯(船堀)

乙女湯(船堀)

蛇骨湯(浅草)
 銭湯の歴史は長い。ボロっちくたってお湯の入れ替えはしっかりしてるから循環の温泉施設で何もしないようなところより余程安心だ。探してみると都内の銭湯の中には温泉が入れる場所が意外とある。大田区などは温泉の銭湯だらけだ。私は大田区在住ではないが、天気がよい日に自転車で散歩の途中、銭湯を発見するととりあえず入ってみる。その中で温泉のある銭湯を紹介しよう。超ローカルな情報なので役に立たないかもしれないが。
 あけぼの湯を発見した時は感動した。お金が無くて温泉に行けないなあと思っていたからだ。温泉分析表もあって間違いなく温泉なのだが、透明なので一瞬あれ?って思う。それでも湯上がりはよく温まって冬場のお休み処としてよく利用する。2階建てで1階には露天風呂もあってゆっくりできる。乙女湯はあけぼの湯とは親戚関係?らしいのだがこちらの温泉は黒湯。源泉そのままの冷たい浴槽と沸かした浴槽の二つを交互に入るのがよい。温泉ではないが檜の浴槽もあって設備面では言うことはない好きな銭湯だ。

 超特急で東京の温泉を紹介したが、まだまだ都内の温泉はたくさんある。麻布十番温泉とか新宿十二社温泉など知ってるけど行ってないし、上野あたりに温泉のあるホテルがあるらしい。仕事が忙しくて温泉に行く時間がない..という時は近所に温泉がないか探してみるのもよい。
 空が暗くなってしまって仕事の帰りでも十分ゆっくりできるのはやはり近くの温泉でしか実現しない。忙しい時こそ温泉に行きたいと思うのは私だけではないはずだ。貴方も行きつけの温泉を探してみてはいかが?
2004/03/10 MINT


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